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2026.02.09 採用面接のリアル3ー「圧迫面接」はなぜいまもなくならないのかー
就職活動をしていると、今でも一定の割合で耳にするのが「圧迫面接を受けた」
という声です。強い口調で問い詰められたり、過去の失敗を必要以上に責められたり、ときには
人格を否定するかのような言葉を投げかけられることもあります。
こうした体験をした就職希望者の多くは、面接後に強い疲労感や不安を覚えます。しかし同時に、
「自分の受け止め方が弱かったのではないか」「社会人になるには、これくらい耐えなければ
ならないのかもしれない」と、自分を責めてしまうことも少なくありません。
圧迫面接は、なぜ今もなくならないのでしょうか。
企業側の説明としてよく聞かれるのは、「ストレス耐性を見るため」「本音を引き出すため」
「厳しい環境でも耐えられる人材かを確認するため」といった理由です。たしかに、仕事をするうえで
ストレスがゼロということはありません。しかし、就職希望者の立場から見ると、その説明には
大きな違和感が残ります。
まず、評価する側と評価される側という、明確に非対称な立場の中で強い圧力をかけること自体が、
本当にその人の本質を見抜く方法なのか、という疑問があります。就職希望者はすでに緊張状態にあり、
失礼のないよう細心の注意を払っています。その状態で追い込まれれば、冷静な判断や本来の思考力を
発揮できなくなるのは自然なことです。
圧迫面接の場では、就職希望者は「正解を言わなければならない」「反論してはいけない」
「感情を出してはいけない」と無意識に自分を抑え込みます。その結果、その人の本来の価値観や
考え方ではなく、「その場をやり過ごすための回答」だけが表に出てしまうこともあります。
これは、企業にとっても決して良い結果とは言えません。
それでも圧迫面接が続いてしまう背景には、古い価値観が根強く残っていることがあります。
「厳しく鍛えられた人間は強くなる」「我慢できる人材こそが優秀だ」という考え方です。
しかし、我慢強さと健全さは同じものではありません。我慢できる人が、必ずしも長く、
前向きに働き続けられるとは限らないのです。
また、圧迫面接を行う面接官自身が、そのやり方に疑問を持たないまま引き継いでいるケースもあります。
自分が若い頃に同じような面接を受け、「それを乗り越えたのだから、次の世代も耐えるべきだ」
と考えてしまう。そうした経験の再生産が、圧迫面接を温存させている側面もあるでしょう。
就職希望者の立場からすると、圧迫面接で感じる恐怖や不安は、決して一時的なものではありません。
「この会社では、意見を言うと責められるのではないか」「失敗したら人格まで否定されるのではないか」
といった想像が、自然と浮かんできます。それは、入社後の働き方や人間関係を考えるうえで、
極めて重要なサインでもあります。
圧迫面接を受けたあと、「自分が弱いからつらかったのだ」と考えてしまう方もいます。
しかし、それは違います。評価権限を持つ側が一方的に圧力をかける状況で恐怖を感じるのは、
極めて自然な反応です。違和感や不安を覚えたこと自体が、あなたの感覚が正常に働いている
証拠でもあります。
もちろん、すべての厳しい質問が圧迫面接に当たるわけではありません。深く考えさせる質問や、
価値観を掘り下げる問いは、面接として必要な場面もあります。しかしそれは、就職希望者を追い詰める
こととは全く別のものです。尊重のない厳しさは、見極めではなく、支配に近いものになってしまいます。
圧迫面接で感じた感情は、「自分が耐えられなかった証拠」ではありません。
それは、その企業のマネジメントやコミュニケーションの在り方を映し出している可能性があります。
就職希望者には、その違和感を無理に押し殺さず、「自分にとって安心できる環境かどうか」を
考える権利があります。
就職活動は、試練に耐える場ではありません。
自分がこれから長い時間を過ごす場所を、慎重に選ぶためのプロセスです。
次回は、こうした違和感や不安を覚えたとき、就職希望者はどう考え、どのように判断すれば
よいのかについて、より具体的に掘り下げていきます。
